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創作四字熟語 2018年の世相を反映した50編

審査員コメント

 なんといっても災害の多い年だったと、あらためて感じました。蒙古並みの激しさを感じさせる「猛夏襲来(もうかしゅうらい)」、大量の台風に振り回された「台量発生(たいりょうはっせい)」、地震の後のブラックアウトをとらえた「地震暗来(じしんあんき)」など、いずれも漢字の簡潔さが生きています。「古里悩税(ふるさとのうぜい)」「豊洲始場(とよすしじょう)」は、一文字の入れ替えで、見事に今年の言葉になりました。漢字一字で国を表わす日本語を利用した「朝米歩会(ちょうべいぼかい)」、元の四字熟語のようにはなりませんように。
一蹴懸命(いっしゅうけんめい)」「金農感謝(きんのうかんしゃ)」などスポーツの話題も多い年でした。「威圧廃止(いあつはいし)」は新四字熟語としても使えそうですね。「顏出奇没(がんしゅつきぼつ)」は元の四字熟語との響き合いが魅力です。
 これまでの講評で「今年の新機軸」としてローマ字の使用や元の言葉の意外性、訓読みの活用などを挙げてきたせいか、ややひねりの効きすぎた作品が増えたように感じました。「一目瞭然」のシンプルな楽しさも、大切にしたいなと思います。

俵 万智(歌人)

今年の傾向

地震、台風、連日の猛暑!記録ずくめの「平成最後の夏」

 今年の日本列島は多くの自然災害に見舞われました。7月の「西日本豪雨」をはじめ、多くの地域で観測史上最多の降水量を記録し、「雨威天変(ういてんぺん)」。台風も「台量発生(たいりょうはっせい)」し、なかでも21号は猛威を振るい西の空の玄関口「関災空港(かんさいくうこう)」では、高潮による浸水や連絡橋の破損など甚大な被害を受けました。また、24号では強風による塩害が発生し「塩線不通(えんせんふつう)」となり、電車の運行に影響が出るなど各地に大きな爪痕を残しました。
 また震度5以上を観測する地震も頻発しました。4月に「島根県西部地震」、6月に「大阪府北部地震」が発生。9月の「北海道胆振東部地震」では、道内全域で前代未聞の“ブラックアウト”が発生し、「地震暗来(じしんあんき)」となりました。明かりが灯った時には「電力感謝(でんりょくかんしゃ)」とその有難さが身に染みました。被害を受けられた地域の1日も早い復旧を祈ります。
 そして平成最後の夏はとにかく暑かった!「猛夏襲来(もうかしゅうらい)」と埼玉県熊谷市で国内最高気温41.1度、都内でも観測史上初の40度超を記録しました。気象庁は『命の危険がある暑さ』と「対処猛暑(たいしょもうしょ)」を呼び掛けましたが、熱中症での救急搬送は過去最多に。あまりの暑さに「夏期休蚊(かききゅうか)」していたのでしょうか、今年は蚊に刺されることがほとんどなかったという人も多かったようです。

平昌冬季五輪、史上最多のメダル獲得

 今年は、冬も暑…いや熱かった! 金4個を含む史上最多13個のメダル獲得という「冬季燦然(とうきさんぜん)」の結果となった平昌冬季五輪では、羽生結弦選手が日本人の男子フィギュアスケート史上初となる大会2連覇を達成。『誰が取ろうが、僕も取ります』とのコメント通り、まさに「結弦実行(ゆうげんじっこう)」の圧巻の演技で世界を魅了しました。スピードスケート女子団体パシュートでは「一身同隊(いっしんどうたい)」のチームワークで、見事金メダルを獲得。“カー娘”と呼ばれて人気を呼んだ女子カーリングでは「娘軍奮銅(こぐんふんどう)」の大活躍で日本勢初のメダルをもたらしました。流行語にもなった『そだねー』や、『もぐもぐタイム』と呼ばれたハーフタイムでのおやつにも注目が集まりました。
 注目といえば、フィギュアスケート女子・金メダリストのアリーナ・ザギトワ選手に秋田犬保存会が子犬を贈呈し、「マサル」と命名されました。これからも一緒に「才色犬備(さいしょくけんび)」の活躍を期待します。

願うは完全非核化 米中関係は荒れ模様… 心温まる明るい話題も

 国際情勢は、6月に史上初の米朝首脳会談が開催され、米国・北朝鮮の両国が歩み寄って「朝米歩会(ちょうべいぼかい)」となり朝鮮半島の完全非核化が約束されました。一日も早い非核化を祈るばかりです。
 また、米国による中国製品に対する追加関税の問題で荒れ模様となり、「貿易荒渉(ぼうえきこうしょう)」の余波による日本経済への影響も気になります。
 一方で明るい話題もありました。5月の英王室のヘンリー王子とメーガン・マークルさんの挙式では「祝賀王子(しゅくがおうじ)」と世界中がお祝いムードとなり、7月のタイの洞窟で繰り広げられた「一心洞泰(いっしんどうたい)」の救出劇では、取り残された少年たちの無事な生還に拍手喝采となりました。

消費税増税の流れが加速、IR実施法成立、ようやく誕生した豊洲市場

 国内では、9月の自民党総裁選で安倍晋三首相が「安晋三選(あんしんさんせん)」を決め第4次安倍改造内閣が発足。早々に消費税率の引き上げを表明し、来年から消費税が8%から10%へ「八転十消(はってんとしょう)」となる流れが一段と加速しそうです。また、地方財政を支援する「古里悩税(ふるさとのうぜい)」は、エスカレートする高額返礼品が問題化して総務大臣が見直しを表明、自治体では対応に苦悩しています。
 経済の新たな流れとしては、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)実施法が成立し「賭色公然(としょくこうぜん)」となりました。新たな経済効果を期待したいところですが、ギャンブル依存症対策もしっかりと検討してほしいところです。10月には、築地からついに移転した「豊洲始場(とよすしじょう)」が、新たな“日本の台所”として歴史を刻み始めました。

仮想通貨流出、風疹患者増加、重すぎるランドセル問題

 1月、成人式を前に着物販売・レンタル業者が突然休業するという「振袖詐欺(ふりそでさぎ)」で、多くの新成人が晴れ着姿を披露できないという事態がおこり、仮想通貨取引所への不正アクセス問題では、約580億円相当が「通仮流出(つうかりゅうしゅつ)」となり世間を騒がせました。世間を騒がせたと言えば、刑務所や警察署からの逃走事件。連日の報道で日本中の注目を集め、「逃奔世騒(とうほんせいそう)」となりました。私たちが安心して暮らせるよう今後の再発防止の徹底を願います。
 全国的に被害の拡大が心配されるのが風疹の大流行です。「風疹禍惨(ふうしんかざん)」とならないよう厚生労働省が抗体検査を呼び掛けました。また、文部科学省が呼び掛けたのは、小学生の重すぎるランドセル問題です。毎日すべての教科書を持ち帰るよう指導していた学校に対して、宿題で使わない分は教室に置いて帰る“置き勉”が認められ「応急書置(おうきゅうしょち)」となりました。

サッカーW杯、高校野球、全米テニスと盛り上がったスポーツ界、一方でパワハラ問題も

 平昌冬季五輪以外にもスポーツの話題が盛りだくさんの1年でした。3月、米大リーグ・エンゼルスに移籍した大谷翔平選手がメジャーデビュー。「一投両打(いっとうりょうだ)」の“二刀流”で新人王に輝きました。6月のサッカーW杯ロシア大会では、大迫勇也選手の“半端ない”ゴールをはじめ、日本代表選手たちの頑張りで決勝トーナメントに進出。「一蹴懸命(いっしゅうけんめい)」な姿に心うたれました。8月、第100回を迎えた全国高校野球選手権大会には、史上最多56校が出場。「百夏繚乱(ひゃっかりょうらん)」で、もつれた好試合が多く見られましたが、中でも秋田県勢として103年ぶりに決勝進出した金足農業高校の活躍は目覚ましく、『夢と感動をありがとう』と「金農感謝(きんのうかんしゃ)」のメッセージが多数寄せられました。しかし、そこに立ち塞がった大阪桐蔭高校が「春夏再桐(しゅんかさいとう)」となる史上初2度目の春夏連覇という偉業を成し遂げました。
 ジャカルタで開催されたアジア大会では、「六冠笑嬢(ろっかんしょうじょう)」を達成した“スーパー女子高生”競泳の池江璃花子選手が最優秀選手(MVP)を獲得。9月には、女子テニスの大坂なおみ選手が全米オープンで優勝し「全米庭覇(ぜんべいていは)」を達成。世界に“なおみ節”を轟かせました。
 一方、華々しい活躍を横目に、スポーツ界ではパワハラなどの不祥事も話題となりました。大相撲では傷害事件や親方の突然の引退などで「角界騒揺(かっかいそうよう)」が続き、アメフトやレスリング、ボクシング、体操など様々なジャンルでパワハラ問題が続出。今後の「威圧廃止(いあつはいし)」を願う声が聞こえます。

国民栄誉賞、世界遺産登録、ノーベル賞と快挙が続く

 将棋界史上初の永世七冠を達成した羽生善治氏と、囲碁界で初の七冠独占を2度果たした井山裕太氏の両氏に国民栄誉賞が授与され、将棋界、囲碁界ともに初の快挙で「名誉盤界(めいよばんかい)」となりました。また、世界オセロ選手権で歴代最年少の11歳で「偉児黒白(いじこくはく)」した福地啓介君など新時代を担う10代の活躍も目覚ましい年でした。
 快挙といえば、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球から約2億8000万キロ離れた小惑星「リュウグウ」へ到着。「隼火竜到(しゅんかりゅうとう)」で採取されるデータから何が解明されるのか、今後の結果が楽しみです。また、国内では6年連続で22件目となる世界遺産に、長崎と天草地方の「潜伏遺産(せんぷくいさん)」の登録が決定し、日本の隠れた文化に脚光が当たりました。
 医学界にも朗報が届きました。がん免疫療法の発展に貢献したとして、京都大学の本庶佑特別教授にノーベル医学生理学賞が「対癌賞受(たいがんしょうじゅ)」されました。この研究をもとに全く新しいがん治療薬「オプジーボ」が開発され、「免力薬助(めんりょくやくじょ)」となるか世界中から注目が集まっています。さらなる医学の進歩により、1日も早くがんが不治の病でなくなることを切望します。

キーワードは“ブレイク”? アムロス続出も

 今年も数々のヒット曲や映画、人気お笑い芸人が誕生しました。映画界では、『万引き家族』がカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールに輝き、映画館は連日「大入万引(おおいりまんいん)」となりました。ダンスボーカルグループ「DA PUMP」が約3年半ぶりのシングル『U.S.A.』をリリースすると“ダサかっこいい”と「踊米繁盛(ようべいはんじょう)」で大ヒット。16年ぶりの紅白出場をはたすなど再ブレイクしました。お笑い界では、様々な芸能人の顔マネを繰り出すお笑いコンビ「野生爆弾」のくっきーさんが、「顔面笑白(がんめんしょうはく)」の“怪物ぶり”で人気を呼び、リズムに合わせて物陰から“ひょっこり”と「顔出奇没(がんしゅつきぼつ)」するネタで一躍人気者となったあの人も大ブレイクとなりました。
 一方、多くの人々に惜しまれつつ檜舞台から姿を消した人も。今年9月に引退し「安室降歌(あんしつこうか)」となった“平成の歌姫”安室奈美恵さん。多くの“アムロス”ファンが続出しました。また、人気マンガ『ちびまる子ちゃん』の作者・さくらももこさんの悲報にも多くの人が「哀桃之悲(あいとうのひ)」を表わしました。謹んでご冥福をお祈りいたします。


 今年、多くの自然災害に見舞われ途方にくれた人々の心を温かくしてくれたのが、スーパーボランティアの尾畠春夫さん。山の中で行方不明となった2歳の男児を「山中子索(さんちゅうこさく)」で3日ぶりに無事発見し、自らの手で家族に引き渡すとの約束を見事に果たしました。また、西日本豪雨を含む幾多の被災地での支援活動にも称賛の声が相次ぎました。謙虚な姿勢と相手を思いやる気持ちに心打たれた人も少なくなかったのではないでしょうか。
 「平成」も残りわずかとなり、新たな時代が幕を開けようとしています。この30年間を振り返りながら、迎える来年が、明るく希望あふれる新時代となることを願っています。



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