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創作四字熟語

審査員コメント

 「創作四字熟語」が、一年を振り返る言葉の風物詩として、定着してきたなあと感じます。今年は、予想通りコロナ関連の言葉が多かったわけですが、機知とユーモアで生み出された数々の「名作四字熟語」を見ていると、とても元気づけられました。

 誰もが願う「収束渇望(しゅうそくかつぼう)」。心からの敬意と感謝を込めての「医師奮診(いしふんしん)」。「医」の語には全ての医療従事者が含まれていると思います。アマビエの「妖姿願霊(ようしがんれい)」にもあやかりたい。今は、お手上げ状態の「全面口覆(ぜんめんこうふく)」ですが、降伏ではなく勝利のマスクとしたいもの。「出発振興(しゅっぱつしんこう)」や「薬家争鳴(やっかそうめい)」の効果にも期待です。

 明るいニュースや国際ニュースにも力作がありました。「王棋聖聡(おうきせいそう)」は、藤井聡太さんの活躍が一目瞭然、「自由香望(じゆうほんぼう)」は「香」をホンと読ませたところが工夫です。「父継三冠(ふけいさんかん)」はサンカンの同音異義の妙味にうなりました。「頻出鬼滅(ひんしゅつきめつ)」は、元の四字熟語との響き合いが、意味の上からも音の上からも、見事です。

俵 万智(歌人)


今年の傾向

五輪イヤーが一転、コロナ禍に。品薄マスク高額転売が社会問題化

 応募作品のジャンルで「社会」が過半数を占めましたが、その多くが新型コロナウイルス感染症関連の作品でした。待望のオリンピックイヤーとなるはずだった2020年。ウイルス拡大で様相が一変しました。「一年待東(いちねんまっとう)」の延期となりましたが、来年無事に開催されるためにも、「薬家争鳴(やっかそうめい)」によるワクチンの開発・供給を願わずにはいられません。
 新型コロナウイルスは、年明け早々から海を越えて忍び寄り、世界各国が「都市封禍(としふうか)」のロックダウンに陥りました。国内でも3月、小中高校の臨時休校が始まり、家庭での「児宅待機(じたくたいき)」を余儀なくされ、さらに不要不急の外出を控えるように要請されるなど、世の中に不安と混乱が広がりました。
 人との接触時には、マスク着用の「全面口覆(ぜんめんこうふく)」で飛沫防止に努める人が急増したことで、マスクは瞬く間に店頭から消えて品薄状態に。対応策として自分で「創意口布(そういくふ)」する人も増え、いまやファッションの一部として楽しむ人も。マスクと同様に、手洗いなどの推奨で消毒液も「除菌高価(じょきんこうか)」となり、インターネットでの高額転売が社会問題化しました。

緊急事態宣言でテレワークが加速、新しい生活様式、ニューノーマル時代到来

 4月7日からは7都府県に、4月16日からは全国に「緊急事態宣言」が発せられました。人と人との接触機会を、企業には出勤者を減らすことが求められ「散勤交代(さんきんこうたい)」のテレワークが一気に加速しました。デジタル化の波に乗って「押印の乱(おういんのらん)」も勃発。行政手続きで印鑑使用の原則廃止が要請されました。
 緊急事態宣言の延長と共に、今後の国民生活の指針として「新しい生活様式」が提言され、「共菌共世(きょうきんきょうせい)」するニューノーマル時代への対応が求められました。「一席二長(いっせきにちょう)」を保って「3密」を回避し、手洗い、うがい、「周囲換気(しゅういかんき)」の徹底、毎朝の「検温無事(けんおんぶじ)」の確認など、さまざまな対策が推奨されました。また、陽性者との濃厚接触の可能性を通知する接触確認アプリによる「感染掌握(かんせんしょうあく)」のさらなる普及も期待されます。

特別定額給付金、マイナポイント、Go Toキャンペーンで景気回復も歓迎と不安

 商業施設やレジャー施設などの臨時休業は、経済に大きな打撃となりました。緊急経済対策として、「給十各家(きゅうてんかっか)」の特別定額給付金や、中小事業者には営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金などが支給され、マイナンバーカード所有者を対象にした「自号自得(じごうじとく)」なポイント還元事業もスタートし、生活維持そして消費拡大の一助となりました。
 青森ねぶた祭、京都・祇園祭の山鉾巡行などの祭事や、花火大会などのイベントも各地で「多止祭催(たしさいさい)」となるなど、地域経済も大きな影響を受けました。「Go Toトラベル」事業も「出発振興(しゅっぱつしんこう)」しましたが、歓迎の声と不安の声が交錯しています。

巣ごもり消費が拡大、リモート飲み会やオンライン帰省が普及、「あつ森」大ヒット

 外出自粛が続く中で、「巣居工夫(そういくふう)」による新たな消費行動も生まれました。仕事終わりの一杯に代わって“リモート飲み会”が普及し、「画伝飲酔(がでんいんすい)」という新たなコミュニケーションが誕生しました。お盆休みも、オンラインで家族との交流を楽しむ「帰省改革(きせいかいかく)」で様変わりしました。
 飲食店では、「持帰商創(じきしょうそう)」と宅配やテイクアウトに力をいれるお店が急増。また、レジ袋の有料化で、エコバッグを「常時携袋(じょうじけいたい)」しての買い物も日常化しました。
 おうち時間が増えたことで、無人島で動物たちと暮らすゲームソフトが大ヒット。ほのぼのとした「凄森消費(すごもりしょうひ)」が世界規模で拡大しました。

特別措置法施行、新首相と都道府県知事の手腕に注目

 コロナ禍で指揮を振るった安倍晋三前首相は、在職日数歴代最長の「記録更晋(きろくこうしん)」となりましたが、体調悪化のため退陣されました。バトンを引き継いだ菅義偉氏が、第99代首相に選出され「菅新相誕(すがしんしょうたん)」しました。
 特別措置法の施行で、都道府県知事による外出自粛や休校措置の要請が可能となり、感染拡大防止への「全国知事会宣言」を公表するなど「注目知事(ちゅうもくちじ)」となりました。

 注目と言えば、大阪では、吉村洋文府知事と松井一郎大阪市長が推進する「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が実施され、僅差で否決という「吉松阪決(きっしょうはんけつ)」が下されました。また、2025年に開催される大阪・関西万博のロゴマークが発表され、ビジョンである「いのち輝く未来社会」を表現した「命輝燦然(めいきさんぜん)」の“キモカワイイ”デザインも話題を呼びました。

大規模森林火災が、香港ではデモが発生。地質年代「チバニアン」と命名

 世界に目を向けると、大規模な被害を与えたのは新型コロナウイルスだけではありません。大規模森林火災が米西海岸や南米アマゾンなどで発生。なかでもオーストラリアでは数万匹のコアラが被害を受けるなど「森惨憂国(しんざんゆうこく)」でした。
 一方、こちらは巨大な猫が話題に。世界遺産「ナスカの地上絵」近くの丘で、「一目猫然(いちもくびょうぜん)」の地上絵が発見されたとの報告がありました。
 香港では、中国で統制強化を目的とした「香港国家安全維持法」が成立、施行されたことで、「自由香望(じゆうほんぼう)」を求めるデモが発生するなど歴史的な局面を迎えました。
 また、国際地質科学連合が、約77万~約12万年前の地質年代を「チバニアン」と命名することを正式決定。「千産地層(ちさんちそう)」が世界に認められました。

藤井棋士「二冠」、競馬は「三冠」、競泳・池江選手が復帰

 将棋界では、藤井聡太七段が棋聖戦に続き王位戦も制し、史上最年少で「王棋聖聡(おうきせいそう)」の二冠を達成、八段に昇段しました。その勢いは止まりません。
 競馬界では、若馬コントレイルが無敗三冠馬に。父のディープインパクトと共に「父継三冠(ふけいさんかん)」に輝きました。新星誕生の一方で、世界最古級のメリーゴーランドがシンボルの遊園地「としまえん」が「閉園木馬(へいえんもくば)」となり、94年の歴史に幕を下ろしました。
 スポーツ界では、五輪を筆頭に全国高校野球選手権などの大会中止や無観客開催など、アスリート達には厳しい一年となりましたが、そんな中でも、明るい話題もありました。競泳女子の池江璃花子選手が、1年7カ月ぶりとなる「泳再競行(えいさいきょういく)」で白血病からの復帰を果たしました。今後の活躍を期待します。
 サッカー界では、キングカズこと三浦知良選手が53歳6カ月28日のJ1最年長出場記録を打ち立てました。「五十三次(ごじゅうさんつぎ)」の挑戦は、まだまだ続きそうです。
 角界では、1月の初場所で平幕の徳勝龍関が、7月場所では元大関で平幕の照ノ富士関が優勝を果たし、幕尻優勝2人という「頂点尻地(ちょうてんしりっち)」の下剋上に。下剋上といえば、出向先から親会社に戦いを挑んだテレビドラマ「半沢直樹」が、“千倍返し”の決め台詞と勧善懲悪の痛快さで、高視聴率の「千倍繁盛(せんばいはんじょう)」で世間を賑わせました。

鬼滅の刃、ソロキャンプブーム。NiziU、フワちゃん人気。殿に哀悼

 大人気漫画「鬼滅の刃」のアニメ映画が公開され、10日間の興行収入が史上最速100億円突破の「最興鬼録(さいこうきろく)」で空前の大ヒットに。コラボ企画や関連商品も「頻出鬼滅(ひんしゅつきめつ)」のヒットを連発。今やコロナ禍で疲弊した日本経済の救世主となりました。
 ソーシャルディスタンス推奨の影響もあり、「一人静火(ひとりしずか)」がブームに。ソロキャンパーとして人気が再燃したお笑い芸人のキャンプ本が、8月の週間ベストセラーで趣味実用書1位を獲得しました。熊本ゆかりの妖怪「アマビエ」も、ツイッターをきっかけに全国に拡散され話題に。疫病退散の「妖姿願霊(ようしがんれい)」を込めた関連商品を多数目にしました。
 芸能界では、新たなアイドルが登場しました。日韓合同オーディションで選出、結成されたグループ「NiziU」のプレデビュー曲の累積再生数が1億回突破という社会現象に。「日韓友虹(にっかんゆうこう)」の架け橋として今後の活躍を期待します。また、ハイテンションで人気のユーチューバー芸人が「フワ台頭(ふわたいとう)」し、意気消沈した日本に元気を振り撒いています。
 一方、笑いの一時代を築いた志村けんさんが逝去され、ウイルスの恐ろしさを世の中に広く知らしめました。「哀殿之意(あいとののい)」を込めて、謹んでご冥福をお祈りいたします。


 見えないものと闘った一年でした。感染拡大防止か、経済優先か、人類に厳しい選択が迫られる中、「医心献身(いしんけんしん)」し、日夜「医師奮診(いしふんしん)」で闘っている医療従事者の方々に感謝と敬意を表します。望むことはただ一つ、新型コロナウイルスの「収束渇望(しゅうそくかつぼう)」です。来年こそ良い一年であることを願います。