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創作四字熟語

審査員コメント

ぎゅっと意味の凝縮した四字熟語。これらを読み解きながら一年を振り返るのも、恒例の楽しみとなりました。「責任十代(せきにんじゅうだい)」は選挙権だけでなく、若い世代の政治への関心を期待したいですね。「仮装狂騒(かそうきょうそう)」はおなじみとなったハロウィンの光景がピタっと言い当てられた佳品。「波乱番号(はらんばんごう)」の波乱はなるべく小さく、「柱途半端(ちゅうとはんぱ)」は中途半端で終わってほしくない一件です。「占客爆買(せんきゃくばくがい)」は、千客万来との重ね合わせが秀逸。爆買は流行語にもなりました。「邸空飛行(ていくうひこう)」「欧行民族(おうこうみんぞく)」など、社会や世界の不安定さを表現したものも多く見られました。そんな中、多くの人が感動を共有できるスポーツの力を感じさせるのが「二人三達(ににんさんたつ)」「蹴姿一貫(しゅうしいっかん)」。新機軸の「福婚悲嬢(ふくこんひじょう)」は、元の四字熟語を連想するより先に、今年の日本のとある状況を想起させられ、印象に残りました。

俵 万智(歌人)



今年の傾向



賛否両論の安保法、若き有権者への期待、マイナンバー制度

戦後70年にあたる2015年。この節目の年に、フィリピン海底での戦艦「夢現武蔵(むげんむぞう)」の発見報道は偶然なのでしょうか。本物なら世紀の大発見となるこのニュースに、世界中が沸きました。
戦後の安保政策に大きな転機が訪れています。賛否両論が渦巻く中、限定的な集団的自衛権の行使を認める法案が「安保成約(あんぽじょうやく)」。激化する抗議運動では学生等の言動が注目を集め、“政治に無関心な若者像”は払拭されました。改正公選法により来夏から「十代初票(じゅうだいはつひょう)」となりますが、若者たちが「責任十代(せきにんじゅうだい)」を果たし、より良い社会を築き上げてくれることを期待します。
安保法と同様に、今年は法改正や新制度の話題が目立ちました。国民一人ひとりに番号を割り当てる「総者番付(そうじゃばんづけ)」制度がいよいよスタート。しかし、肝心の「My何番(マイなんばん)」通知の遅延や個人情報の流出・悪用に対する不安等、「波乱番号(はらんばんごう)」と戸惑う人も多いようです。行政の効率化や利便性向上など、メリットも多いこの制度。安心して上手に使っていきたいものですね。
効率化といえば、大阪では府・市による二重行政の解消が提案されましたが、「都構僅差(とこうきんさ)」の住民投票により待ったがかかりました。しかし、11月のダブル選挙では大阪維新の会が圧勝し、“大阪都”誕生への議論はまだまだ続きそうです。
4月には、社会全体で子育てを支えようと「支援子家(しえんしか)」制度が開始。夏には男性の育児参加が期待できる「夕効活用(ゆうこうかつよう)」も推奨され、社会でも家庭でも、子育てしやすい環境づくりが進められています。
少子化対策に必死なのは日本だけではありません。中国は、30年以上続けてきた一人っ子政策を「子増改革(こぞうかいかく)」へと政策転換しました。成功すれば、中国人観光客による衝撃の「占客爆買(せんきゃくばくがい)」で、ますます日本のオムツが品薄になるかも?そんな“爆買い”も、自治体発行の「優券繁売(ゆうけんはんばい)」と共に、経済活性化に貢献しました。今後、環太平洋経済連携協定(TPP)の「関税消壁(かんぜいしょうへき)」も始まりますが、日本の経済が、そして私たちの暮らしがどのように変わっていくのか・・・。期待と不安でいっぱいです。


海や空に謎の物体、自然の猛威、黒い影を落とす国際紛争

猛暑から冷夏に一転した今夏でしたが、スーツ姿はやっぱり暑い!採用活動後ろ倒しによる「就活遅延(しゅうかつちえん)」で、企業を駆け回る就活生は汗だくです。せめて休日くらいは海で涼ませてあげたいのですが、海水浴場には招かれざる客が次々と現れ、「鮫岸無人(こうがんむじん)」になりました。
視線を空に移してみると、そこにも神出鬼没な物体が・・・。首相官邸での「邸空飛行(ていくうひこう)」ですっかり“侵入者”扱いをされているドローンですが、ビジネスや災害時での活用も期待され、安全な運用に向けた法規制が求められています。
襲いくる自然の猛威を、私たちは防ぐことはできないのでしょうか?火山活動の活発化や台風・集中豪雨による河川の氾濫など、今年も各地で「山震水鳴(さんしんすいめい)」が起きました。また、住宅や公共施設の「柱途半端(ちゅうとはんぱ)」も発覚し、平穏な暮らしを望む私たちに大きな不安を与えています。
国際問題も深刻化しています。ヨーロッパでは、戦禍や迫害から逃れてきた多くの「欧行民族(おうこうみんぞく)」「南民流北(なんみんりゅうほく)」と押し寄せました。そして、世界を震撼させた、パリ同時多発テロの発生。すべての人々が安心して暮らせる、平和な未来を願わずにはいられません。


ノーベル賞ラッシュ、世界遺産登録、お笑い界初の芥川賞

素晴らしい!ノーベル賞の医学生理学賞に大村智氏が、物理学賞に梶田隆章氏が「医物堂堂(いぶつどうどう)」と輝きました。また、医療の分野では、九州大などのチームが尿1滴でガンを判別できる「線尿捜査(せんにょうそうさ)」に成功。一刻も早い実用化が望まれます。
“明治日本の産業革命遺産”の世界遺産登録には大喜びでしたが、全国の寺社では奇妙な「油禍騒寺(ゆかそうじ)」が発生。貴重な文化財を汚されてしまい、とても残念です。
「火花芥賞(かかかいしょう)」作家、又吉直樹さんを輩出したお笑い界では、リズムネタ・歌ネタの「笑歌仕合(しょうかじあい)」が大ブームに。“飽きられやすい”というジンクスもあるようですが、改正された「虚音禁制(きょいんきんせい)」の商標登録制度で、新たなビジネスチャンスが生まれるかもしれません。また、裸一貫・・・否、ほぼ全裸で「新裸万笑(しんらばんしょう)」を誘ったのが、とにかく明るい安村さんです。多忙すぎるスケジュールで、パンツのピンク色はどんどん色落ちしたようですが、全裸ポーズにはますます磨きがかかっています。


街を練り歩くオバケたち、芸能人の結婚に悲痛な叫び

年々ヒートアップするハロウィーンの「仮装狂騒(かそうきょうそう)」は、もはや秋の風物詩となりました。写真撮影には「自撮棒使(じどりぼうし)」が便利ですが、人混みでのご使用はご注意ください。
毎年さまざまなダイエット法が流行りますが、ただ痩せるだけでは美しくはなれません!完璧なボディを追求する「結果痩身(けっかそうしん)」のCMを、私たちは何度凝視したことでしょう。“個別指導”も成功の鍵のようですが、かわいい教え子だからといって「師漏試験(しろうしけん)」はお断りです。
身体だけでなく持ち物もスリムに―――。モノを極限まで減らす「家荷大処(かかたいしょ)」の暮らしには、“持たないことで見える豊かさ”があるそうな・・・。憧れもありますが、どう頑張っても物欲が捨てられそうにありません。
“多様性”や“家族”についても考えさせられました。東京都渋谷区で、同性カップルを“結婚に相当する関係”として認める「同性同盟(どうせいどうめい)」が施行され、多様な生き方を尊重する社会へと大きな一歩を踏み出しました。
結婚の話題は、芸能界でも持ちきりでした。特に、福山雅治さんの電撃入籍には女性ファンの悲鳴が相次ぎ、多くの「福婚悲嬢(ふくこんひじょう)」が“ましゃロス”に。「信じていたのに」と泣かれても、“ましゃ”も辛いです・・・。
厚い胸板、クールな眼差し・・・王子様は人間だけではありません!名古屋・東山動物園では、ゴリラのシャバーニが有名に。子ゴリラと戯れるイクメン姿に女性客は「ゴリ夢中(ゴリむちゅう)」です。また、大分・高崎山動物園では、命名について物議を醸したお猿のシャーロットが、「愛猿喜園(あいえんきえん)」の看板娘に育っています。


トップアスリートが大活躍、スポーツ界も鉄道も世代交代

2020年の東京五輪は、新国立競技場やエンブレムの迷走で「五輪浮宙(ごりんふちゅう)」状態ですが、トップアスリートの躍進は止まりません。体操・内村航平選手は「個総六覇(こそうろっぱ)」でリオ五輪に内定し、フィギュア・浅田真央選手は復帰後初の国際大会で見事優勝。美しい「蝶々発進(ちょうちょうはっしん)」を披露してくれました。
球界では、セ・パ両リーグで20代の山田哲人内野手と柳田悠岐外野手が“トリプルスリー”の偉業を「二人三達(ににんさんたつ)」。その一方で、「昌竜伝説(しょうりゅうでんせつ)」と称された山本昌投手の引退や、来季監督の大幅な若返りなど、「セ代交代(セだいこうたい)」の波を感じました。
世代交代は鉄道でも進みます。北陸では「輝路盛線(きろせいせん)」が東京−金沢間を約2時間半で結び、秋の「銀暇極上(ぎんかごくじょう)」には「加賀遊銭(かがゆうせん)」の観光客で大賑わいに。そのかたわら、鉄道ファンに愛された「進退特急(しんたいとっきゅう)」のトワイライトエクスプレスや、最後のブルートレインである北斗星は、長年の歴史に幕を下ろしました。また、和歌山では、動物駅長ブームのパイオニア、三毛猫のたまが天国に旅立ちました。本当にお勤め「御苦労玉(ごくろうたま)」でした。

今年最大の喝采を浴びたのは、史上最大の番狂わせを起こしたあのチームでしょう!中でも五郎丸歩選手の「蹴姿一貫(しゅうしいっかん)」ポーズは、こぞって子どもたちが真似しました。2016年はもう目前―――。不安や悩みの尽きない世の中ですが、私たちもラグビー日本代表選手のように、明るい未来へと「勇桜邁進(ゆうおうまいしん)」していきたいものです。






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